「…ええっと

じゃあ、片瀬さんはアソコの空いてる席に…」




「……。」







不良生徒を受け持つのは初めてなのか、担任の若い女の教師は顔を引きつらせながら、窓際の一番後ろの席を指差し

私は周囲の冷たい空気を無視しながら、教師に指定された席へ向かった。






「片瀬さんって言うの?

私は真弓ー、宜しくねー」



「……。」







セミロングの髪で前髪を作らず、額を出した私の前の席に座る女の声が、静まり返った教室内に響き渡った。







「ねえねえ

片瀬さん名前なんて言うの?」




「……。」







私より空気を読まないその女は、地声がとにかくウルサく、ハッキリ言って、ウザイ奴と言う以外に例えようが無かった。






「あ、あの…萩村さん

仲良くなるのは休み時間にしましょうね」



「はーい」






担任の制止が入り、ウザイ女はようやく前を向いた。