無言の真弓を気にしながら私のアパートへ着くと、二階に在る私の家の居間に電気が点いているのが見え、


真弓はそれを確認すると、奥歯をギリッと噛み締め、急に走り出して階段を駆け上がった。









「ま、真弓!」








慌てて私も真弓の後を追うと、真弓は私の家のドアを勢い良く開け、


玄関で靴を脱ぎ捨てると、玄関先にあったスリッパを一つ手に取り、ズカズカと居間へ進んだ。








「おい!真弓!」








すると、


居間に居た父親が何事かと真弓を見上げた瞬間、


真弓は手にしたスリッパで、私の父親のオデコをスパーンとひっぱたいた。







「なっ…」







真弓の突然の行動に、叩かれた父親も私も唖然とし、


次の瞬間、スリッパを投げ捨てた真弓が父親の胸ぐらを両手で引っ張った。








「ふざけんなよテメー!


あの金はウチらにとって大事な金なんだよ!!


さっさと出せコラー!!」



「!?」