「真弓!」
外へ出ると、真弓は私の家の方角へ向かい、ツカツカと歩いていた。
「おい!
どこ行くつもりだよ」
追いついて隣に並ぶと、いつも柔らかい表情の真弓の顔つきが、素に戻っていた。
「パチンコ屋に行ったなら…
そろそろ閉店だし、帰ってきてるよな」
真弓が本気で怒っている時の素の表情と、いつもより低い声、
真弓は真っ直ぐ向いたままボソッとそう言って、ツカツカと足早に私の家へ向かって歩き続けた。
「お前が行ってなんになるんだよ…
下手に刺激して酒なんか入ってたら、お前まで手を上げられるから止めとけって…」
「……。」
真弓は私の制止を無視して歩き続け、私はメッタな事では怒りを見せない真弓の迫力に気圧され、それ以上、何も言えなくなり、
アパートの電気が点いていない事を祈った。