真弓の家で夕食をご馳走になるのは何度かあった為、いつも座らせてもらうイスに腰掛けると、正面には真弓の父親が座っていた。
「どうだ尚ちゃん。
解体の仕事、辛いだろ」
バイクや車が趣味で、私達みたいな不良には理解のある、真弓の優しい父親。
「いえ、楽しいですよ。
ウチらほとんど、力使わない仕事ばっかやらされるんで」
「真弓はそれでも辛いらしいよ」
「いや、マジ辛いって。
父ちゃんもやってみりゃ分かるから」
母親が私の前にご飯と味噌汁を置いてくれて、私は軽く頭を下げた。
「すみません、頂きます」
「いっぱい食べなさい」
真弓の母親はそう言って父親の隣に座り、私達は4人で夕食を食べた。