真弓の家のインターホンを鳴らすと、中からバタバタと足音が聞こえ、茶碗を片手に箸をくわえた真弓が玄関のドアから姿を現した。
「…よっ」
愛想笑いを向け、片手を軽く上げると、真弓はくわえていた箸を、茶碗を持つ逆の手で口から離した。
「…やられたの?」
「……。」
少し間を空け、コクっと頷いた。
「ご飯、食った?」
首を横に振ると、真弓は再び箸を口にくわえ、空いた手で私の手を掴み、家の中に引きずり込んだ。
「母ちゃーん!
尚美のご飯、超大盛で宜しくー!!」
「おいおい…」
すると、台所の方から真弓の母親の声が、玄関まで響いてきた。
「あいよー!!」
「……。」
ノリの良い親子に、私は落ち込んでいたのも忘れ、クスッと笑った。