「ただいま」








玄関のドアを開けると、廊下の先に在る居間に父親の姿は見当たらず、靴を確認するが出かけている様だった。







「……。」








嫌な予感がした私は、玄関に靴を脱ぎ捨てると真っ直ぐに部屋へ向かって走り出し、今までの給料が入った引き出しを勢い良く開けた。







「……。」







重ねられたタオルの上に置いてある、給料袋の束、


私は恐る恐る、中身を確認した。









「…無い」








一番上の封筒に入っているはずのお金が無く、続けて二番目の封筒も開けてみるが、中身はやはり、空っぽだった。








「……。」








9個あった封筒全てから、私のお金は綺麗サッパリ抜き取られ、私は空の封筒を手に力無く座り込み、しばらくは何も考えられなかった。







「……。」