無言で歩いていると、隣に並んだ真弓が私の顔を覗き込んできた。








「ごめんね、尚美」



「……。」







受験に落ちたくせに、ニコニコと笑いながら言ってくる真弓に、私は小さな溜め息を漏らした。








「…お前ってホント、バカだよな」



「あははは。

でも、好きなくせに」



「……。」









バカなくせに、そこだけはしっかりと、分かってくれている。







「ま、いっか。

バリバリ働いて、良い単車でも買うか」



「おー」



「…バイトの面接まで落ちるなよ」



「あはは、大丈夫大丈夫」



「お前の大丈夫は当てにならねえよ」









こうして私達は、

春から晴れて、フリーターとなる事が確定した――