それから数日後の事だった。
真弓の家に、灯火の先輩から電話が入った。
「…はい、はい。
分かりました。
…はい、失礼します」
「…?」
真弓は何やら顔を引きつらせ、私に視線を合わせてきた。
「誰?」
電話を切った真弓に聞いた。
「七海さん…
特攻服の刺繍代2.3万はかかるから、今の内から金集めとけよ、だって」
「……。」
七海さんとは、今年から新しく灯火の頭になった、私達の中学の2個上の先輩。
つまり、牧村さんの1個上の卒業生。
中2の春に転校してきた私は、学校では入れ違いだった為、面識は無かったのだが、ここ2年の間、ちょくちょく会って話をした事はあるが、あまり好きなタイプの人間ではない。
と言うより、牧村さん以外のメンバーは、みんなくせ者揃いだった為、私達はみんな好きじゃなかった。