「…なんであんたは喧嘩売るかな」
2人が去ると、私は呆れながら言った。
「だってムカつくんだもん!
あいつら絶対、悪人だぞ。
私の動物的勘が言ってる」
「…あっそ」
人なつっこい真弓が、第一印象でこんなにも他人を嫌うのは珍しく、
たしかに私も2人を見て、あまり良い印象は持てなかったが、
ワンレンの方の女の目は、ただ目つきが悪いだけとか、そういった感じではなく、何かに対する深い憎しみみたいな、そんな印象を相手に持たせる瞳だった。
「あー、気分わりい。
あんな奴らと一緒の高校だなんて」
真弓はそう言って仰け反り、両手を頭の後ろにやった。
「もう受かった気になってやがる。
面接どうだったの?」
「…ん?
ああ、ちゃんと答えたよ」
「どんな風に?」
「当校を志望した理由は?みたいな事聞かれて、
私でも受かると耳にしました。って答えた」
「…真弓、
今からでも遅くねえから、合格祈願の御守り買いに行くぞ」
「あはは、大丈夫だって。
全部正直に答えたから」
「それが心配なんだよ!」