ふと本棚に目を向けると、知っている不良漫画が何種類も綺麗に並べられていた。
「あんたの部屋、ヤンキー系の漫画ばっかだな。
あ、ロンタイ発見」
そう言って本棚から漫画を一冊抜き取ると、真弓はタバコに火を点けながら口を開いた。
「カッケーよな、チャコ。
マジ憧れるわ〜」
真弓はそう言い、私はソファーに寝そべって漫画を開いた。
「マコの方が美人ですから」
「はあ?
チャコが髪降ろした時の方が可愛いから」
「マコの方が可愛い」
「…チャコって言ってんだろ」
「マコ」
「チャコだろ!!
喧嘩売ってんのかテメー!」
「…うるせーな。
本読んでんだから話しかけんなよ…」
「友達と遊んでる時に漫画なんか読むな!」
真弓はそう言って、寝そべる私の背中に飛び乗ってきて、私から漫画を取り上げた。
「あ、何すんだよ!」
「こっちのセリフだ!
漫画は1人の時に読め!」
「じゃあ貸して」
「うん、いいよ。
全巻もっていきな」
「……。」
何気に、真弓は良い奴だった。