「お前の母ちゃん、良いな」 二階に在る真弓の部屋へ入ると、私はテーブルの前に在るソファーに座りながら言った。 「欲しけりゃやるよ。 小言ばっかでウルサいから」 真弓はベッドにドカッと腰を降ろしながら、呆れ口調で言った。 「…じゃあ、もらおっかな」 「……。」 冗談ぽく、クスクス笑いながらそう答えると、真弓は私をジーッと見ているだけで、何も言ってこなかった。