空き地を出て歩き出すと、ふと萩村が聞いてきた。
「尚美の家って、どの辺?」
「あの辺」
私はそう言って、自分の家の方角を指差した。
「いや、わかんねーし。
喧嘩売ってんの?」
「うるせーな…
知らねーんだよ、住所。
まだ来たばっかだし」
「あ、そっか」
「あっちに在る小さいスーパーの近く」
「あ、じゃあ私と同じ二丁目ら辺だ。
今から私んち来ない?」
「なんで?」
「なんでって…
親友の家に遊びに行くのに、理由なんかいらねえだろ」
「誰が親友だよ、
まだ友達でもねえし」
「はあー?
あんたムカつくね」
「あんたはウザいね」
「あんたって言うな!
真弓って言ったろ!」
「…お前もあんたって言っただろ」