萩村がさっき、この牧村という先輩をヤバいと言ったのは、目を見てすぐに分かった。
この先輩だけは、たしかにカッコばかりの他の先輩達とは違う、そう感じた。
「お前、名前は」
「…尚美です」
「悪かったな。
ウチらの学校、突っ張った奴見つけたら、とりあえずヤキ入れんのが伝統みたいなもんなんだよ。
大抵は次の日から、ロンスカ脱いで来たり髪黒くしてくるけど、
お前は認めてやるよ、髪もロンスカも」
「……。」
意外な事を言われ、キョトンとしていると、他の先輩達は納得がいかないのか、不機嫌な顔を見せるものの、誰も牧村先輩に意見はしなかった。