次の瞬間、マミ先輩の目がクワッと見開いた。






「考えました。付き合えません」


「あ、はい。わかってました」





そりゃそうだろうと、なぜか少し安堵した気持ちでいると、マミ先輩は再びスッと立ち上がって断りの理由を丁寧に説明してくれた。






「少年。実は私、先日から暴走族なのです」


「え、暴走族?先輩が?」


「はい。

尊敬するバスケ部の先輩方が結成したレディース、ともしびの一員なのです」


「‥あ、はい。そうなんですか‥‥」





普通なら驚く場面なのだろうが、マミ先輩のキャラがあまりに濃くて、大して驚かなかった。





「少年の勇気を振り絞ったプロポーズを断るのは私にとっても苦渋の決断でした。

目を閉じた十数秒、私は少年との初デートで行く事になるであろう、動物園での一日をシミュレーションしてみました」


「動物好きなんですか」


「シミュレーションの結果、やはりダメです。

暴走族の女がペリカンやペンギンを前に男とイチャイチャ、キャピキャピするのは何か違う様な気がするので」


「鳥類が好きなんですね」


「本当に申し訳ない。

殴って気がすむなら1発どうぞ」


「あ、いえ。遠慮します。

なんか、こちらこそスミマセン‥。


あと、俺もペンギンは好きです」