チンケなプライドを持ち合わせているからこそ、忍には俺の劣等感を悟られない様、普通に振る舞っていた。





「忍の変化量スゲーな、マジで。

遠くから見ててもエゲつないドロップしてんの分かるよ。先輩ら擦りもしねえじゃん」


「今年は弱小だからな、ウチの中学」


「今年はリリーフで来年は2年生エースか。

アハハ、スタートダッシュで離されちゃったな、俺」


「‥‥‥」






皮肉って気づいてただろうな。





「‥大樹、これから部活終わったら二人で少し練習しねえか?」


「え、練習?」






皮肉って気づいても、相手が何にモヤモヤしているかを考え、それに合わせた的確な言動をさり気なく取る男。





「お前とのバッテリー、3年が引退してから練習始めたっておせえじゃん。

秋からは多分、俺とお前だろうし」


「‥‥‥」






けど、忍はわかっていない。

ヘタに同情されると逆にプライドが傷つく事を。





「ア‥アハハ、そうだな。

2年の辺見先輩は大した事ないもんな‥」


「ああ、打撃力もお前の方が上だろうし」


「‥‥‥」