あれから一年。


夏の大会で3年が引退し、2年生になった俺達は晴れてレギュラーとして秋の新人戦に出場していた。






「今日も大勝利ー!

俺らってマジ強くね?」


「あんま油断すんなよ。

もう高校のスカウトも動いてるみたいだし」


「分かってるって。忍は必ず強豪校のスカウトの目に引っ掛けてやるよ、この俺が」


「うわ~偉そう~。

まあ今日はホームラン打ったし、偉い事にしといてやるけど」


「ナハハハッ、もっと褒め称えろ」






ここまでの試合は全勝。

それどころか、ウチの中学は忍の好投もあって、全ての試合で相手に1点すら与えていなかった。







「大樹さ、マジで打者としてもいけんじゃね?」


「まあ、そもそも肩が強いからキャッチャーやってる訳だし、バカ力は忍に負けねえよ」


「捕手と打者の練習バランス、もう1回見直した方が良いかもな。今が一番大事な時期だし」


「そうだな。考えてみるよ」






忍とやれる様になり、自信がついていた。


たしかに試合に勝てるのは忍の力も大きいが、その忍の力を最大限に生かせているのは俺だという確信と手応えがあったからだ。

その強い気持ちが良い方向へ作用し、俺自身のプレイも確実に飛躍していた。







「ちょっと本屋寄っていい?」


「ああ」