「なあなあ西岡、さっきの部活紹介、バスケ部のマミちゃん先輩可愛くなかった?」





入学式を終え、体育館から退場する際、俺は後ろを歩く忍に問いかけた。





「あの人、変わり者だぞ。

小学校同じだったけど、ゴミ袋荒らしてるカラスに向かって説教してたし」


「個性的なのも魅力の一つではないか」




忍はなんというか、特に無口というわけでもないのだが、大笑いしたりテンションが上がったりはせず、常に一定のエネルギーで生きているといった感じだった為、最初はつまらない奴だと思っていたのだが、それは俺の勘違い。





「お前は誰か可愛い子見つけなかったの?」


「可愛い子?どこにでも居るじゃん。

ココとか」





忍はそう言って、隣を歩く女子を指差した。





「え、入学初日に告白?」


「可愛くない女なんか居ねえよ、って意味」


「うわ~カッコイイ‥

そして反応に困って気まずそうな白石さんに同情するわ~」


「な、照れる姿可愛いだろ」


『‥‥‥』





テンションは低くても、話のノリは良いしボソッと冗談を言ったりする奴だし、忍はけっこう面白い奴だった。





「じゃあちょっと自己紹介やろうか。

誰からやる?」


「みんな一斉に」


「それで西岡くんがみんなの名前覚えられるって言うならやってみようか」


『アハハハッ』