3年の不良仲間には慕われてそうだったし、顔だって忍ほどじゃないけどカッコイイ。

必然的に女子からの評判は良さそうに思えるのだが、どうもマミ先輩の反応は違って見えた。






「牧村先輩って、いつもニコニコしてますよね」


「してますね」


「他の先輩はみんな、相手を威圧するというか、不機嫌そうなオーラを常に出してるのに、

牧村先輩ってそういうのが無いにも関わらず別格な雰囲気というか、そこもカッコイイですよね」


「‥‥‥‥」


「それは威圧する必要が無いからだよ」


「え?」






後ろからカナ先輩が話しに割り込んできて、俺は後ろを振り返った。






「不良は自分を大きく見せる為に、表情や服装、大きな声とかで相手を威嚇するけど、牧村にはそういうのが必要無いからね」


「なんでですか?」


「一番大きな存在なのに、それ以上、大きく見せたところで無意味じゃん」


「‥‥‥」







この街のトップは牧村良平。

ただの野球少年だった俺は、そんな誰もが知る当たり前の事すら知らなかった。







「さっきの返答、付け加えます」


「え?」






再び横に居るマミ先輩に視線を戻す。






「相手によっては良い人かも知れませんが、彼は誰よりもしたたかで冷酷ですよ」


「え‥そうなんですか?」


「憧れるのは自由ですが、彼と関わるなら気をつけて下さい」


「‥‥‥」