「ほらよ」 「…え」 彼はそう言って、財布の中から抜いた千円札を、私に差し出してきた。 「中学生から金を巻き上げる趣味はねえよ」 「……。」 よく見ると、まだあどけなさの残る、私と歳がそう変わらなそうな優しい笑顔、 私はゆっくりと左手を出し、千円札を受け取った。 「…お兄さん」 「ん?」 「あの… あと、250円… ひみ子の分、足りません…」 「……。」