「直りそうですか?」



「軸はな。

ロックは修理に出さねえと直らねえけど」



「…へえ。

やっぱり、けっこう掛かりますか?


その…修理代」



「……。」







トドメらしき一発を、ガツンとタイヤに入れた彼は、


愛想笑いをしながら質問する私に、再び振り向いた。







「お前、北中?」



「…え?

あ、はい、北中です」



「何部?」



「部活ですか?


元バスケ部ですけど、何でですか?」



「……。」







すると彼は、

原付のシートに腰を降ろし、ダウンジャケットの中から取り出したタバコを口にくわえながら答えた。







「なるほどな。


あのデカい女の仲間か」



「え…」



「放火犯は現場に戻るって、よく言うよな」



「……。」