2人はしぶしぶポケットから財布を取り出し、小銭入れを手の平の上で逆さまにすると、小銭を数え始めた。








「400円、咲希は?」



「勝った、600円」



「いや、足りねえだろ…」








呆れながら2人が原付のシートに小銭を乗せるのを見ていると、

ひみ子が肩に掛けていたショルダーポーチの中をゴソゴソとあさり始め、自分の財布を取り出した。








「私あるかも。

100円…200円…


あ、2枚しか無い。



ええっとお…

210、220…」








ひみ子が十円玉を数えている時だった。



突然、ガラガラっと二階の窓が開き、

アパートの住人が下に居る私達に気付いた。