顧問の谷村先生と久恵が怒鳴り合っていると

少し後ろから、ひみ子がボソッと言った。









「ねえねえ。

こういう時はさあ、ドラマとかだと署名運動じゃない?」








ゆっくりと振り返る久恵。







「署名…運動?」




「うん」



「…どしゃ降りの雨の中、

ずぶ濡れになりながら、道行く人々に無視されながらも、

仲間の為にと、健気に声を張り上げ続け…」



「その間、

サッキーは捨てられた子犬を抱いて、


お前も1人か?私もだよ、一緒に帰ろう…、って」








久恵の目が、キラーンと輝いた。








「…それだ」



「え…ウチ、マンションだから犬飼えないんだけど。


猫にしてよ、そこ」







次の瞬間、久恵は拳を握りながら右手を上げた。







「よっしゃー!

校長に直談判だー!!」



「おーう!!」



「ちょ…

ちょっと待ちなさい、あんた達!」