相手ボールで再開した試合は、なかなかボールが奪えず、
残り時間だけが少なくなっていき、どんどん苦しい状況へ追い込まれた。
「リバンッ!!」
相手が外したシュートもリバウンドが拾えず、僅か1点の差が、時間的に重くのしかかる。
(…くそっ、取れない)
積極的にカットに行くものの、逃げる様にパスを回され、
ボールは私がマークする相手から、相手チームのエースへと渡った。
「咲希!ミドル無いよ!
腰落とせ!!」
「わかってる!!」
残り時間と点差を考えれば、相手は確率の低いシュートは狙ってこない。
私は仲間に、抜かれる事だけを気を付ける様に促した。