高校に入学してからというもの。ひとつだけ使われていない席がある。たしか…名前は。
「ほしの!早く行くよ!移動教室遅れる!」
ふと名前を呼ばれ我にかえる。
「まや。ごめん!行こう。」
そう言って私たちは教室を飛び出した。
私は高校1年生の天川ほしの。そして、私の親友!立石まや。私たちは保育園からずっと一緒。いわゆる幼馴染というやつだ。
最近私は気になっていることがある。入学してから一度も学校にきていない子のこと。
男の子らしい。どんな子なのか気になってはいるけど聞く勇気はなくて、ただ最近になってすごく気になる。
入学して半年。流石に一目見てみたい。
「…の!…しの!…ほしの!ほしの!!」
「わっ!」
「ねぇ聞いてる?!」
「まや、ごめん。」
「ほしの最近大丈夫?ぼーっとしてるっていうかさー。そもそも高校にもなって彼氏できてないとか致命的!!」
「うっ…。いや、恋愛とか別に興味ない。てか考え事!」
ぶっちゃけ、まやの彼氏自慢大会より私はあの子のことが頭の片隅から消えない。
「なに?恋愛の悩み意外で考えることある?」
「いや、山ほどあるわ。あのさ、入学してから来てない子。めっちゃ気になっててさ、」
「あー!たしか…空宮なぎさ…だったかな?」
「なぎさくん。」
「どんなの子か気になるよね!」
「うん。」
空宮なぎさ。どんな子なんだろうな。本当に本当に気になってしょうがない。