あの時、風に飛ばされたプリントを空中でキャッチしたことはよく覚えている。


まさか取れるとは思ってなかったから、キャッチ出来てしまったことに自分自身が一番ビックリしてて。それを見た月島くんが声を上げて笑って、不思議そうにその様子を見ていたクラスメイトにもいつのまにか笑顔の輪が広がっていって……。


温かくて優しいあの空間が、どこまでも心地よくて思い出すだけで心がふわふわした。


「なんかあのときのこと思い出したら、懐かしく感じたっていうか……。まだそんなに経ってないんだけどね」


くすぐったそうに彼は笑う。

私もつられて小さく微笑んだ。


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──あの日、あの瞬間、

いつもと違う胸の音がした気がしたんだ。



不安とも緊張とも違う、

心を揺れ動かすような、温かい何かが──。