「わ、ご、ごめん!急に話しかけられたら、ビックリするよね」

「……あ、えと……」


なんて返したらいいんだろうと言葉に詰まっていると、ふいに強めの風が窓から入ってきて、彼の机の上に置かれたプリントが吹き飛ばされた。


「「あっ……!」」


重なるふたりの声。
廊下側の席の椅子に引っかかったプリントを、先に辿り着いた私が手に取ると、彼は困ったように笑ってお礼の言葉をくれた。


「ごめん、田宮さん。わざわざありがとう」

「あ、いや……」


大したことはしてないので、と首を軽く横に振ると、手元に返ってきたプリントをじっと見て、それからはにかむように笑った。


「つ、きしま、くん……?」

「ごめん、なんか初めて田宮さんと話したときのこと思い出して」

「えっ?」

「あのときも、風で飛んだプリント田宮さんに取ってもらってたなぁって」

「……!」