「あ、原田さん……に、田宮さん……。おは、よう」
「あっ……」
「月島じゃん、おはよー。……って、息めっちゃ切れてるけど。もしかして走ってきたの?」
扉を開けたときの動作のまま、その場から動かずにいる彼に、藍が心配そうに声をかける。
「うん。昨日、宿題のプリント、持って帰りそびれて……っ」
「あー……、それで今日早く来たんだ」
「うん、そう」
額の汗を拭いながら息を整えると、彼は自分の席に鞄を置き机の中からファイルを取り出した。
そんな彼に藍が感心したように声を上げる。
「にしても偉いね。宿題の英語って3時間目なのに、朝来てやるなんて」
「今回のは時間かかりそうな気がしたし、それに……」
ふいに彼はプリントから視線を外して、こちらを振り返った。
タレ目がちな瞳と視線が交わる。