その日の英語の授業は、二人一組でペアになって英語で会話してみようというもので。


ペアは自由、という先生の言葉にクラスメイトは一斉に視線を送り合い、手を伸ばし合って、約束を取りつけていたのだけれど。


私だけは、それを素直に喜べなくて。


話す友達といえば他にもいるけど、ペアを組む相手となると藍以外にはいなくて。だけど肝心の彼女は、その日風邪で寝込んでしまっていた。


よくある先生と一緒に組みましょうね、のオチを想像しながら少しばかり憂鬱な気持ちに浸っていると、ふいに肩をトントン、と誰かに叩かれた。


不思議に思って振り向くと、クリクリとした可愛らしい瞳と視線が交わる。


『え、っと……?』

『ペア、誰と組むかもう決まっちゃった?』

『え?あ、いや……』

『それなら、オレと組もうよ』

『えっ?』

『あ、イヤじゃなければ、の話だけど……』

『……』