誰もいない、朝の教室。
響く足音は自分のものしかなくて、なんだかドキドキする……そんな時間。


カーテンを捲って窓を開けると、外の空気が一気に流れ込んできて髪が靡く。



──落ち着く。



ゆっくり深呼吸をひとつして、心地よい風を浴びる。


誰もいないこの時間こそが至福なのだと、私は強く思った。



私の名前は、田宮 凜(たみや りん)
高校生になって早数ヶ月……、朝の誰もいないこの時間の教室を独り占めするのが最近の私の日課。


ガールズトークで盛り上がる教室も楽しくて好きだけれど、朝のこの時間ひとりでいるときにしか訪れない静けさが、特別感があって私は大好きなんだ。


そんな普段はガールズトークで盛り上がるここは、所謂専門分野に特化した学校で男女バランスが偏っている。このクラスも男子は両手で数えられる程度しか在籍していない。