今年の夏は異例の暑さだと毎日のようにニュースでも注意喚起がなされている。この体育館内も空調の調整はされているとはいえ、試合を立て続けに行っている選手たちの摂取する水分量は予想を超えていた。


準備していたドリンクが底をつきてしまい、粉末タイプのスポーツドリンクを急遽用意することになった。


「念のために用意しておいてよかったですね!さすがひな先輩です!」

「蒸し暑くなるだろうから、足りるか不安だったんだよね。持ってきておいてほんとよかったよ」


決勝戦前の空き時間、亜美ちゃんと一緒に山口先生の車に積んでいたウォータージャグとドリンクセットを体育館の外にある水道まで運ぶ。


外に出ただけで額や首元には汗が滲み、地面からの熱がシューズを通り越して直に伝わってくる。


蛇口を捻って冷たい水を手にかけると、ひんやりとした気持ちよさが全身へと広がる。2人して「わ〜〜」と、生き返ったように声を上げた。


水道水を入れた2Lのペットボトルに粉末を2袋追加し、キャップを閉めて上下によく振る。出来上がったスポーツドリンクを氷の詰まったウォータージャグへとどんどん流しいれていく。


「亜美ちゃんは自分の飲む分、まだある?」

「それが私もあとちょっとなんです」

「そしたら自販機に寄ってから戻ろっか。私もお茶を買い足したいし」

「賛成です〜!」


ウォータージャグの取っ手の端と端を2人で持って、近くにある自販機へと足を運ばせる。