それからはペットの話をしたり、同じく試験期間中ということもあってそれぞれの学校のテストの話をした。


柊くんは理系で、英語が苦手。新しい情報が書き加えられた。


柊くんの学校も部活は禁止されているけど、今日はこっそりと自主練をしていたという。その場所がこの近くの市民体育館。


そこは私たちの高校からも近いので、学校の体育館が使えないときによくお世話になっている。確かにあの場所なら、白石東の先生にバレる確率は低いと思う。


自主練の帰りにここに寄って、偶々私を見かけたらしい。柊くんの電車の時間まで皆で勉強していこう、と言っていたのだけれど全員急な予定で帰ってしまったという。


クールで口数が少ないというイメージのあった柊くんは、思ったよりもよく話をしてくれる人だった。話下手な私の話を丁寧な相槌で聞いてくれて、話しやすい雰囲気を作ってくれた。


このまま、ずっと話していたい。


そんな思いが過ったのも束の間。朝の電車と同じで、心ときめく時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。


この楽しい時間が終わるカウントダウンを聞きたくなくて、テーブルの上で音を鳴らしたスマホの存在を無いものにしてしまいたくなる。