それからの私は、たくさんのキラキラを探した。

朝の電車も、体育館の音も匂いも、仲間と過ごす時間も。全てが大切な私の青春。


最寄り駅まで道のり。半袖シャツを肩まで捲り上げ、立ち漕ぎで自転車を飛ばしているこの瞬間も、青春だなあと思う。


ホームのベンチに座り、首元の汗を拭くボディーシートのせっけんの匂いも、青春だなあと思う。


よーく周りを見渡してみると、キラキラはたくさんの場所に散りばめられているのだ。



「ひなー、おはよー」

「えっ!光希?」


そろそろ電車が来る頃とホームに並んでいたところ。


いつもは1本前の電車で先に学校へ着いているはずの光希が私の真横へと並んだ。


テンションがいつもの半分以下の光希の声は僅かに掠れていて、よく見れば目も充血している。


「もしかして寝坊した?」

「正解。チャリぶっ飛ばしたわ。間違いなく高校新記録」

「ふふっ、おめでと。あ、光希。寝癖ついてるよ」

「まじ?」

「まじ。右の後ろ、あ、そうそうそこ!」


なかなか直らない強力な寝癖を押さえる光希と一緒に電車に乗り込んで、いつものボックス席へと座る。


私の前には先客がいたので光希は私の隣、通路側の席へと座った。


よほど眠いのか何度も何度も欠伸をこぼす光希は、うっすら涙を浮かべた猫目を私へと向ける。


「わりぃ、ひな。寝る」

「どうぞどうぞ。着いたらちゃんと起こすからごゆっくり」