「なんかさ、寂しくても死なないはずなのに、死にたくて堪らなくなる時ない?」

 あるよ。分かりすぎるくらいある。

「それにどうせ誰に言っても理解されないし。『寂しくなる病気』ってなんだよって。誰だって寂しい時くらいあるって言われるに決まってる」

 知ってるよ。分かるよ。私もずっとそう思っている。

「どうしよ、もう高校行きたくない。この状態じゃ笑えない」

 菅谷くんにかけられる言葉が見つからないのに「菅谷くん」と名前を呼んでしまう。

「ん?」
「あ、えっと……」
「こんなこと言われても困るよな。ごめん」
「ちがっ……!そうじゃなくて……!」

 私は早くなる心臓をなんとか抑えながら、言葉を(つむ)いでいく。

「菅谷くん、寂しい時どうしてる?」
「え……?」
「前に言ったでしょ。私はぬいぐるみと手を繋いだり、『寂しくない。大丈夫』って言い聞かせるって。菅谷くんはどうしてるのかなって思って……」
「俺は川崎さんにそう教えてもらってから、家では小さなぬいぐるみを握ってる。学年集会の時はぬいぐるみを持ち込めなかったから『大丈夫。寂しくない』って」
「じゃあ、一緒だ」
「……?」