【頻発性哀愁症候群の苦しみ】

 見出しにそう大きく書かれている番組。きっとお母さんが録画したのだろう。頻発性哀愁症候群は有名な病気ではない。だからこそ特集などはあまり見たことがなかった。
 私はつい再生ボタンを押してしまった。まず頻発性哀愁症候群という病気の説明から始まり、病気の当事者へのインタビューなどが行われている。
 その時、専門家の先生のインタビューが始まった。

「頻発性哀愁症候群は先天性と後天性があります。後天性の場合は何らかの出来事などで発症する場合があり……その出来事は本人にとって印象に残ることが……」

 気づいたらプツッっとテレビの電源ボタンを押してしまっていた。目の前のテレビの画面が真っ暗に変わる。
 私も菅谷くんも後天性の頻発性哀愁症候群である。私にだって言いたくない過去くらいある。きっと菅谷くんにだって……ううん、今はそんなことより菅谷くんの体調が第一だ。
 私は明日菅谷くんに会うためにその日は早めにベッドに入った。