この病気は風邪とは違う。菅谷くんは私のメッセージを「否定」しなかった。つまりきっと倒れたのは頻発性哀愁症候群のせいだ。
 お見舞いに行ったら、菅谷くんが困るかもしれない。

「菅谷くん、まだ病院に入院してるんじゃない……?」
「昨日、家帰れたらしい!それにそろそろプリントも溜まって来たからさー。もちろん菅谷に連絡取ってからだけど」

 どうしよう、菅谷くんの本心が分からないけれど……行っても菅谷くんが無理をして笑うだけのような気がした。

「休んでる時に人が来たら疲れちゃうかもだし……あ!私が菅谷くんに連絡しておくよ。今日は金曜日だから土日の間に連絡とって、もし大丈夫だったら月曜日に行こ!」

 無理やり明るめに出した声がバレていないことを願いながら笑うと、草野くんが「オッケー!任せる!」と言って自分の席に戻っていく。
 私は草野くんが席に戻っていった後、もう一度スマホの画面に視線を向けた。ゆっくりと考えながら、文字を打ち込んでいく。

「菅谷くん、体調はどう?
 草野くんが月曜日あたり菅谷くんのお見舞いに行きたいと言っているけど、大丈夫かな?
 嫌だったら遠慮なく言ってね」