その会話を聞いて、菅谷くんがメッセージを送ったことに安心する生徒も多かった。
 私はもう一度自分のスマホに目を向ける。スマホには菅谷くんとの個人のトークルームが表示されている。

「川崎さん、ありがと」

 菅谷くんから返ってきたメッセージは、たったその一言だけだった。菅谷くんが無理に元気を装ったメッセージを送らなくて嬉しいという気持ちと心配の気持ちがせめぎ合っていた。
 その時、後ろから「川崎さん!」と声をかけられた。

「草野くん、どうしたの?」
「ねぇねぇ、川崎さんさ。菅谷の家に高校のプリント渡しに行かない?」
「え……?」
「ちょっとお見舞いも兼ねてさ!そういえば班のグループで川崎さんが何も送ってなかったけど、なんかあった?今まで川崎さんがメッセージをスルーしたことなかったしさ!」

 確かに私は班のグループで何も発言していない。草野くんが不審に思ってもおかしくないだろう。

「あ、えっと……菅谷くんに直接メッセージ送ったから、グループでは言わなかったっていうか……」
「ああ、なるほど!了解!で、お見舞いどうする!?」