ゾッ、と身体が芯から冷えたのが分かった。身体は動かないのに、心臓だけドクドクと聞いたことがないくらい早く鳴り響いている。



「菅谷!」



 人だかりの中の菅谷くんの友達の焦った声が体育館に響き渡った。
 人だかりのせいで倒れている人物を確認することは出来ない。それからの先生たちの対処は早くて、すぐに倒れた生徒は運び出されていく。

 何が起こっているの?

 そう心の中で問いかける自分がいるのに、心のどこかでは何が起こったのかを理解していた。
 学年集会は倒れた生徒が運び出されると、続きが再開される。それでも生徒たちが集中できていないのは先生も分かっているようで、すぐに学年集会は終わり生徒たちは自分たちの教室に戻っていく。

「菅谷倒れたんだって!」
「なんで!?」
「熱中症じゃねーの!」
「五月は早すぎない?」
「でも、今日めっちゃ暑いじゃん!」

 ザワザワとクラスはいつもより騒がしくて、菅谷くんの名前が飛び交っている。私は自分の席に座りながらも、心臓は早く鳴り響いたままだった。
 その時、川北先生が教室に入ってくる。

「先生!菅谷大丈夫なの!?」