顔を出しそうになる感情をなんとか押さえつけながら、心の中で何度もいつもの言葉を唱える。


「大丈夫。寂しくない。寂しくないよ」


 私は症状をなんとか抑えようとしながら、菅谷くんのことが頭をよぎる。
 菅谷くんは大丈夫か心配なのに、出席番号順に並ぶ学年集会では菅谷くんは私の後ろ側になってしまう。菅谷くんに視線を向けたくても、振り向くことは出来なくて。
 そんな心配をしながらも、私は自分の症状を抑えることで精一杯だった。
 だから、きっと……そんな最低な私は菅谷くんに学年集会の始まる前にも声をかけなかった。
 菅谷くんから相談されるまで待っていた。菅谷くんもあまり聞かれたくないだろうって。それが正しいと思っていた。

 全校集会が始まって三十分、静かな体育館に大きな音が響き渡る。



 ドン。



 生徒たちがザワザワし始めて音のする方を振り返ると、私のクラスの列で人だかりが出来ている。

「川北先生!木本先生!すぐに保健の先生を呼んできて!それと救急車!」