それでも、菅谷くんは私を呼んでくれた。それはきっとそれだけ苦しかったということだろう。

「……ああ、これからどうしたらいいんだろうって分からないくて……気づいたら俺の症状のことを知ってる川崎さんに連絡を送ってた」

 菅谷くんが私の方を見て、申し訳なさそうに笑う。

「本当にごめんね。こんな意味分からないことで呼びだして」

 「菅谷くんが謝ることじゃない」とか「気にしないで」とか色んな言葉が頭をよぎるのに、どの言葉が正しいのか分からなくて……結局何が正しいか分からないまま、言葉を選んだ。

「私は……連絡をくれて嬉しかった……」

 絞り出した言葉が合っているか分からないけれど、菅谷くんの顔が少し柔らかくなって、そのことにとても安心した。

「ねぇ、川崎さん。川崎さんは症状が出た時、どうやって収めてる?」
「……私はお母さんに手を繋いでもらうのが一番安心する。でも高校とかじゃそんなこと出来ないから、基本的にはぬいぐるみと手を繋いでる。あと、一番は『寂しくない。大丈夫』と心の中で唱えることかな……でも、人それぞれだから菅谷くんもゆっくり自分に合った方法を探していけばいいと思う」