「もうそろそろ休憩時間が終わるね。教室に戻ろ。俺は、菅谷 柊真(すがや しゅうま)
「川崎 奈々花です……」
「そっか、これからよろしく。川崎さん」
「あの……!」
「ん?」

 言いたいことはたくさんあるはずなのに、言葉が出てこない。

「どうしたの?早く戻らないと、休憩時間終わるよ?」
「そうだね……早く戻ろっか」

 言葉は出てこないまま、休憩時間は終わってしまう。
 明日の説明が終わり、解散になった後も私は菅谷くんのことで頭がいっぱいだった。放課後、もう一度話そうと思っていた菅谷くんはすでに沢山のクラスメイトに囲まれていた。

「菅谷、このあと遊ばね!?」
「まだ入学式終わったばっかだぞ!?」
「だからいいんじゃん!これから忙しくなるんだし、今から遊んでおこうぜ!」
「じゃあ、折角だし他のやつも誘って、三組で懇親会しよーぜ!」
「え、めっちゃいい!菅谷、天才!」

 菅谷くんは先ほどの体調の悪そうなそぶりは一切見せず、もうクラスの中心人物になっていた。

「じゃあ、これから集まれるやつ挙手ー!」