男子生徒の突然の大きな声に私はビクッと身体を震わせた。私が驚いたことに気づいて男子生徒が申し訳なさそうにこちらを見る。

「ごめん、大声出して。でも、本当に大丈夫。病気でもなんでもないから」

 こんなに体調が悪そうなのに、病気ではないとなぜわかるのだろう……。いくら大丈夫と言われても流石にこの人をこのまま置いていくことなんて出来ない。
 休憩時間が終わるまであと10分。

「あの、私は三組なんですが同じクラスですか?」
「え?そうだけど……」
「じゃあ、休憩時間が終わるギリギリまでここで一緒に休もう」

 私は男子生徒の隣にそっと座った。

「君も体調悪いの?」
「私の場合は何の病気か分かってるし、大丈夫。それにもうおさまってきたから」

 男子生徒は私の言葉を聞いて、少しだけ視線を落とした。

「俺は、病気じゃない……と思う……ちょっとおかしいだけ」
「……?」
「なんか最近……いや、なんでもない」
「言いたくなかったら勿論言わなくて大丈夫だけど……何を言っても大丈夫だし、引かないよ」

 この言葉は私が言われたい言葉だ。有名ではない私の病気は理解されないことも多いから。