いつも通りの小さくて震えたような声での返事。それでも、初めて内容は明るくて、自分の気持ちを素直に言えた気がした。
「本当!?じゃあ、お揃いにしよ!川崎さんはどっちの貝殻がいい?」
美坂さんが両手に一つずつ貝殻を持って、私に見せてくれる。同じような色の二つ美しい貝殻、どちらも綺麗で本当にどちらでもいいはずなのに……気付いたら、美坂さんが始めに私に渡してくれた一個目の貝殻を手に取っていた。
「そっちの貝殻の方が小さいけどいいの?」
「うん、こっちがいい」
だって、これは美坂さんが初めて私に渡してくれた貝殻だから。
「本当にありがとう、美坂さん。とっても良い思い出になった」
「あはは、まだオリエンテーションは始まったばかりだよー」
一つも楽しいことが起きない高校生活を送ると思っていた。いや、送るつもりだった。
無事に高校を卒業して、周りの人に迷惑をかけないことだけが目標で、高校生活を楽しむつもりなど微塵もなかった。
それでも、今一つ、楽しい思い出が出来たのだ。思い出はなくならない。この思い出はずっと残る。それが嬉しくて堪らなくて。私は、ぎゅっと貝殻を握りしめた。
「本当!?じゃあ、お揃いにしよ!川崎さんはどっちの貝殻がいい?」
美坂さんが両手に一つずつ貝殻を持って、私に見せてくれる。同じような色の二つ美しい貝殻、どちらも綺麗で本当にどちらでもいいはずなのに……気付いたら、美坂さんが始めに私に渡してくれた一個目の貝殻を手に取っていた。
「そっちの貝殻の方が小さいけどいいの?」
「うん、こっちがいい」
だって、これは美坂さんが初めて私に渡してくれた貝殻だから。
「本当にありがとう、美坂さん。とっても良い思い出になった」
「あはは、まだオリエンテーションは始まったばかりだよー」
一つも楽しいことが起きない高校生活を送ると思っていた。いや、送るつもりだった。
無事に高校を卒業して、周りの人に迷惑をかけないことだけが目標で、高校生活を楽しむつもりなど微塵もなかった。
それでも、今一つ、楽しい思い出が出来たのだ。思い出はなくならない。この思い出はずっと残る。それが嬉しくて堪らなくて。私は、ぎゅっと貝殻を握りしめた。