「いや、それ絶対貝殻だから」

 中学から同じと言っていた菅谷くんと草野くんは、気心知れた仲なのか適度に話しながら、たまに無言でゴミ拾いをしている。それでも、全然気まずい空気が流れていない。
 私はというと……美坂さんと話すことが出来ず、同じ無言でも気まずい空気が私たちの間に流れている気がした。

「川崎さん、見て!この貝殻とっても綺麗!」

 しかし、美坂さんは気まずいと気にしている様子はなく、所々透き通って見える水色の貝殻を私に見せに来てくれる。
 美坂さんの持ってきた貝殻は本当に綺麗で、海なんて来た記憶が幼少以来なかった私はついつい見入ってしまう。

「川崎さん、この貝殻いる?」
「え……?でも、美坂さんが見つけたのに……」
「大丈夫!もう一個探すから!」

 そう言って、美坂さんが下を向きながら辺りを探し始める。私も慌ててゴミ拾いをしながら貝殻を探し始めた。

「あ!ねぇねぇ川崎さん、一つ要望言ってもいい?」
「要望?」
「うん!私の欲しい貝殻の要望!」
「うん、もちろん……」

 すると、もう一度美坂さんが近寄ってきて、私に先ほどの貝殻を見せる。