草野くんの質問を聞く限り菅谷くんが中学校の時にサッカー部だったのだろうか?
 しかし草野くんがその質問をした瞬間、菅谷くんの顔に少しだけ焦りが見えた気がした。しかし、すぐにいつもの笑顔に戻る。

「俺は帰宅部がいいんですー。それに俺は才能が溢れてるからどの競技もそれなりに出来るし!」
「うわ、うぜー!」
「あはは、草野とは才能が違うしな」
「おい!菅谷!」

 草野くんが菅谷くんの肩を組みながら、菅谷くんにわざと体重をかけて遊んでいる。
 菅谷くんももしかして、「寂しさ」のせいで部活が出来ないのだろうか……ううん、私には関係ない話だ。私だって言いたくない過去はあるし、明かせない「頻発性哀愁症候群」という病を抱えている。
 そんなことを考えていると、順番が私たちの班に回ってきて教頭先生が私たちに声をかける。

「おーい、ゴミ袋とトングと手袋配るぞー」
「はーい」

 ゴミ拾いの道具を貰った後、私たちはすぐに海辺の端へ向かった。


 班で行動と言っても、いつの間にか男女で分かれてしまう。別れると言っても、数メートル離れた場所にはいるのだけれど。

「なぁ菅谷、これってゴミ?」