「こちらこそ描かせてくれて感謝しかないよ。本当に楽しくて、あっという間だった」
「川崎さん、きっとこの楽しい時間はこれからも沢山あるよ」

 菅谷くんが少し離れたところにいる草野くん達に聞こえないように小声で話を続ける。

「症状が出てて寂しくて長く感じる時間より、この楽しい時間の方が多くなっていく気がする。ねぇ、川崎さん。手、出して」

 菅谷くんの言葉の意味が理解出来ないまま、私は手を出した。菅谷くんは私の手を片手でギュッと握った。

「菅谷くん……!?」
「症状が出て寂しい時はこうやって手を繋いで、一緒に勇気を出そう。それで寂しくて長く感じる時間を終わらせて、楽しい時間をいっぱい過ごせるようにしたい」

 菅谷くんはそう言って、草野くん達に気づかれる前にパッと手を離した。

「大丈夫だよ。川崎さん。俺ら、寂しくない。絶対に大丈夫」

 菅谷くんは最後に「楽しい時間が多い方が良いし」と笑った。
 草野くんと美坂さんが話し終えて、こちらに戻ってくる。

「なぁ、折角だしこのまま4人で一緒に帰らね?」

 草野くんの言葉に美坂さんが「もちろん」と笑っている。

「菅谷と川崎さんは?」