震えた声でなんとかそう絞り出した私の声に反応したのは、菅谷くんではなくてクラスの男子だった。

「え、なになに!?川崎さんと菅谷ってそういう関係!?」
「いや、告白だろ!」

 よくある高校生のノリだけど、言われる側は決して気分の良いノリではなくて。私は「ちがうっ…‥」と否定しようとしたのに、声が上手く出ない。そんな俯くだけの私とは違って、菅谷くんは簡単にそんな男子のノリを壊した。

「そんなんじゃねーから!はい、解散」

 そう言って、私に教室の外に出るように目配せをしてくれる。私は教室の外へ逃げるように出ていく。
 少しだけ遅れて、菅谷くんが教室の外に出てきた。

「ごめんね、川崎さん。それで何かあった?」
「あの、入学式の時のことなんだけど……」
「ああ、もう体調は治ったから大丈夫だよ」

 菅谷くんはあの時と同じ笑顔を私に見せた。いや、あの時と同じ笑顔で「誤魔化した」
 それは触れないで欲しいということだ。菅谷くんはきっとどれだけ辛くても放っておいて欲しいと遠回しに言っている。

「川崎さんは体調はもう大丈夫?」
「うん」