「いいの……!?」
「うん、菅谷くんの初試合だしね。折角なら良い席で見よ」

 菅谷くんが「ごめんな、急に誘って」と申し訳なさそうに謝った。

「全然。夏っぽい感じがして楽しそう!」

 美坂さんは本当に楽しみにしているようだった。私も楽しみだったが、何より菅谷くんがサッカー部の試合を見に来ないか自分から誘ってくれたことが嬉しかった。

「ていうか、これで負けたら恥ずいな!菅谷!」
「うるせ。お前も俺と同じチームなんだから、負ける時一緒だろ」
「あはは、そうだな。ま、今回は一年がメインの練習試合だし頑張ろーぜ」

 菅谷くんと草野くん、美坂さんがそれぞれ部活に向かおうと教室を出ようとする。すると、美坂さんが振り返った。

「あれ、川崎さんは帰らないの?」
「みんな部活行くんじゃ……」
「行くけど玄関辺りまで一緒に行こ!」

 美坂さんの言葉に私は三人の元へ駆け寄った。置いていかれたように感じていた教室からは簡単に抜け出せてしまうもので。私は夕日の光が差し込む教室を後にした。

 翌日、7月13日。朝起きてカーテンを開けると、快晴ではなかったが雨も降っていなくて涼しそうな天気だった。