私の俯いたままでの小さな声の挨拶に、クラスメイトは「話しかけない方が良かったかな」と少しだけ申し訳なさそうに去っていく。
 その申し訳なさそうなクラスメイトに、私は心の中で謝った。

 折角、声をかけてくれたのにごめんなさい。

 それでも、私は人よりもずっと話しかけてもらえたことが嬉しくて堪らないのだ。だからこそ近づけない。「友達」など作れば、その子に異常に執着してしまう可能性がある。それだけは絶対に避けたかった。
 そして、友達一人作れない私は、さらに寂しさに苛《さいな》まれる。私は、急いでスクールバッグの中に手を突っ込んだ。スクールバックの中には、スクールバッグの三分の一を占めるほどの大きさの可愛らしい女の子のキャラクターのぬいぐるみ。私は急いで、ぬいぐるみと手を繋ぐ。

 大丈夫、寂しくない。寂しくないから。

 そう心の中で言い聞かせて、この感情が少しでも過ぎ去るのを願うのだ。今日も子供のようにぬいぐるみと手を繋ぎながら。

 この病を発症して二年で、私が模索して見つけた方法は二つ。