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由吏のことを好きになったきっかけはとても単純なものだった。
入部して直ぐに、カメラを買おうと思った私に向かって、、
「撮りたいと思うものが無い分際で、カメラを買うなんて…ふざけたこと言うな。」
なんて強い口調で言われてしまい、流石に少し傷ついた私は半泣きになりながら由吏のことを睨みつけた。
しかし…その後すぐにため息をついた彼は、自身のロッカーの中から一台のカメラを取り出し…それを黙って私に手渡したのだ。
その意味が分からず、手の中にあるカメラを眺めていると…傍観していた眼鏡くんこと早乙女氏が、、
「カメラって買うと高いからね。まずは芹澤のお下がりを使って、色々試してから自分に合ったカメラを選ぶことをオススメするよ…って言いたかったんだよね?芹澤?」
なんて…早乙女氏が語ってくれた不器用すぎる由吏の優しさに、キュンと心臓が飛び跳ねたのを今でもよく覚えている。
始まりはそんな些細なやり取りだったが─…
この出来事をきっかけに、私は由吏のことを意識するようになったんだ。