「あの…もしかして怒ってる?私が勝手に大切な写真に触れたりしたからっ…それで怒ってここへ連れてきたの?」


先程の話が本当なら、この写真は由吏にとってとても思い出深い大切な宝物だ。それを無断で勝手に手をつけていたとなると…彼が怒るのも当然のような気がする。



「……ごめんね、もうしないからっ…許して」


止まっていたはずの涙が再び溢れそうになった時、由吏が大きなため息を吐くから…歪んでいた視界から溢れ出した涙が雫となって頬を流れた。



「人の話は最後まで聞け。確かに怒ってるけど…その理由はもっと別にある」


写真を再び壁に戻した由吏は、ゆっくりとこちらに近付いてくる。何を言われるのかと身構えた私の頬にそっと手を伸ばすと、流れる雫を指で優しく掬ってくれた。



「…昨日、何で早乙女と二人で帰ったりした?」


「え…?だって、それは…由吏が雪乃ちゃんのことを送るって言うから、」


「”西森を先に送ってから”、その後でお前を送るつもりだったんだけど?」


「同じ方向の雪乃ちゃんを送ってから反対方向の私を送って…その後また自分ちの方に戻るって?そんなの全然効率的じゃないと思うけど」


「確かに、効率は悪いけど…その分、胡桃と一緒に居られる時間は長くなる」



……え?いま、なんて言ったの?